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こんなブログで大丈夫か?


by yosidagumi_nikuya
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シリアス・プラン③ムスタングとフォックスアイ

パトリシア・ムスタング・フォックスアイをただの貧乏領主の娘だとする俗説は間違いである。なぜならばフォックスアイ家は系譜をたどればある偉大な血流にたどり着く。それは偶然にも天奈の一族にも似た系譜であり…。

私は教会で祈るのが嫌いだった。だから理由をつけてこんな馬小屋で祈っていた。このせいで変な声に取り憑かれる羽目になってしまった。
『パトリシアさん、こんなところにいたんですか?』
いつの間にか、一人の少女が入ってきていた、妄想に気を取られるなんて酷い。
『お祈りを済ませてきたところよ、マリー』
『こんなところでですか?』
ごもっともです。
『人がたくさんいるところは嫌いなの、それにここはマスタングが生まれてきたところでしょ』
『第二のマスタングが現れて、アプルーエを救ってくれるといいですね…』
事実、今のアプルーエ、というよりガリア王国は危機に瀕していると言っていい。だから神頼みというわけだ。
『そろそろ帰りませんか?いつもお世話になってますし、屋敷に来ませんか?』
正直彼女は我が家の金づるだった。

フォックスアイ家は古くからの貴族であったが、不要に事業に手を出しては失敗し、領地を無断で売却し、国王にとがめられ没落していった。一方のマリーのダッカー家は貿易業で台頭し、貴族の称号を金で買った新興貴族だった。仲良くなったのは金づるにするためでない、と自分では思っている。

『おまえ、いいところ育ちだったの?そうは見えないんだけど』
見えない奴に言われたくない。
『シリアス?いたの?そういえばあの蜘蛛みたいのはどこに行ったの?』
『あいつとじゃれているぞ』
銀色の蜘蛛はマリーとじゃれている。マリーが『これなんて言う動物なんですか?』と聞いているようだ。のんきすぎるだろ。
『パトリシア・ムスタング・フォックスアイが本名なの、アプルーエの統一帝王ムスタングの傍系の傍系。それのさらに傍系だったかな』
『へえ…』
シリアスが妙に感心したような声を出したのが印象的だった。
by yosidagumi_nikuya | 2010-09-04 22:04 | サンキューマイトワイライト