こんなブログで大丈夫か?


by yosidagumi_nikuya
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カテゴリ:サンキューマイトワイライト( 4 )

パトリシア・ムスタング・フォックスアイをただの貧乏領主の娘だとする俗説は間違いである。なぜならばフォックスアイ家は系譜をたどればある偉大な血流にたどり着く。それは偶然にも天奈の一族にも似た系譜であり…。

私は教会で祈るのが嫌いだった。だから理由をつけてこんな馬小屋で祈っていた。このせいで変な声に取り憑かれる羽目になってしまった。
『パトリシアさん、こんなところにいたんですか?』
いつの間にか、一人の少女が入ってきていた、妄想に気を取られるなんて酷い。
『お祈りを済ませてきたところよ、マリー』
『こんなところでですか?』
ごもっともです。
『人がたくさんいるところは嫌いなの、それにここはマスタングが生まれてきたところでしょ』
『第二のマスタングが現れて、アプルーエを救ってくれるといいですね…』
事実、今のアプルーエ、というよりガリア王国は危機に瀕していると言っていい。だから神頼みというわけだ。
『そろそろ帰りませんか?いつもお世話になってますし、屋敷に来ませんか?』
正直彼女は我が家の金づるだった。

フォックスアイ家は古くからの貴族であったが、不要に事業に手を出しては失敗し、領地を無断で売却し、国王にとがめられ没落していった。一方のマリーのダッカー家は貿易業で台頭し、貴族の称号を金で買った新興貴族だった。仲良くなったのは金づるにするためでない、と自分では思っている。

『おまえ、いいところ育ちだったの?そうは見えないんだけど』
見えない奴に言われたくない。
『シリアス?いたの?そういえばあの蜘蛛みたいのはどこに行ったの?』
『あいつとじゃれているぞ』
銀色の蜘蛛はマリーとじゃれている。マリーが『これなんて言う動物なんですか?』と聞いているようだ。のんきすぎるだろ。
『パトリシア・ムスタング・フォックスアイが本名なの、アプルーエの統一帝王ムスタングの傍系の傍系。それのさらに傍系だったかな』
『へえ…』
シリアスが妙に感心したような声を出したのが印象的だった。
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by yosidagumi_nikuya | 2010-09-04 22:04 | サンキューマイトワイライト | Comments(0)
聖パトリシアは神の声を聞き、神の鎧をまとい、太陽の槍で敵を葬ったという。しかし彼女を魔女と呼ぶ者もいた。そして私はその侮蔑に似た非難の明確な証拠の一つを偶然見つけてしまった。

シリアスがどこかに隠れている誰かのイタズラでないか、探し回ってもこの物騒で不気味な声の正体はいなかった。
『何かを探しているのか』
シリアスが問う、姿見えないが周りは見えているのかこいつは。
『いいえ、別に』
『落ち着きのない奴だな』
何か得体の知らない奴に言われたくない気がした。
『あなたは一体何なの』
『忘却されるべき汚点だ、世界の歴史と時空の歪み“特異点”だ』
何を言っているのか、ちょっと分かりません。
『神様なの、悪魔なの』
『神気取りの悪魔の犠牲者だ』
『だからそういう姿をしているの』
いや姿は見えないが。
『俺に、姿形など元々存在しない、忌むべきパンスペルミアと同様の自我だけの存在と言えるかどうかさえ、怪しい存在さ』
『パンス、ええとそれ誰です』
『俺を生んだ元凶さ』
『自分自身が災害みたいな物言いですね』
『その通り、俺は災害さ、俺のせいで未来がどれだけ歪むのか、目も当てられないぜ』

シリアスはパンス某への怒りと恨みを言い続けていた。
『いつまで続くんです、それ、いい加減姿を見せて下さい』
『姿なんて無いって言ってるだろうが、やっと人間と話せたんだ。少しくらいいいだろうが。あと身体よこせ』
いつこいつが襲ってくるのだろうか、身構えた、こいつは人間だろうが悪魔だろうがやっかいな存在だ。
『変態め』
『変態じゃないわ』
シリアスは怒鳴った。
『俺はあいつと戦うために生身が必要なの。だからおまえを乗っ取りたいの』
『ふざけんな』
こんな奴にかまってられるモノか。

私は馬小屋の外へ向いて帰ろうとした。しかしいつの間にか、扉の外に数匹の蜘蛛が集まっていた。いや蜘蛛みたいな銀色のでかい奴が。
『ぎゃあ、なんだこいつ』
私は思わず叫んだ。
『クリーピーバグ、来てくれたか』
『なにこいつ、あんたの使い魔なの』
『正確にはそうではないが、まあ、未来が俺に用意してくれたモノみたいなものだ』
『私を逃がさずに乗っ取ろうっていうの』
私はシリアスという悪魔に問う。
『いや、俺は話し合いがしたいんだ、間借りでいいんだ』
『間借りってどういうことなの』
『俺はおまえの身体をちょっと借りるだけでいいんだ』
『こういう強迫して説得に応じろって言うの』
『謝る、おまえの祈りにも協力するから、きっとなんかあるだろ、変な祈りみたいなことしてたし』
今更何を言うんだ、とも思ったが、いいだろう神頼みをしてみよう。
『じゃあさ、アマナを倒す手伝いをしてくれない』
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by yosidagumi_nikuya | 2010-08-20 20:31 | サンキューマイトワイライト | Comments(0)
過去は忘れて現実には真剣に未来を感傷的で

馬小屋で祈るのには伝統的で神秘的な由来でもあるのだろうか。少なくとも私は若干の期待を込めて馬小屋で祈っていた。見返りがあると思うほど信心深くもなかったがなにもしないよりマシであろうと思い、ここに来たのだ。私が求めているのは神の助けだった。動機が動機だけに、とっと帰ろうと思っていた。しかし私は運が悪くそいつの声を聞いてしまった。本当に運が悪い。

『パンスペルミア、殺してやる』
最初は空耳かと思った。
『パンスペルミア、滅ぼす。誰か身体をよこせ』
もう一度声がした。
『パンスペルミアめ、余分なことをしやがって。俺は消えたい』
確かに聞こえる、声も消えちまえばいいのに。
『パンスペルミア消えてしまえ』
これは神でなく、悪魔のたぐいなのか。少なくとも早々に立ち去った方がいいかも知れない。
『誰か、いるのか。俺の声が聞こえるのか』
悪魔に感づかれた。
『え、ええ』
私は観念したかのように返事をする。魂奪われちゃうの。
『会話が出来るとはちょうどいい。おまえ名前はなんて言うんだ。俺はシリアス・プラン』
シリアス・プランという悪魔のことは聞いたことがない。
『私はパトリシア、パトリシア・フォックスアイ』
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by yosidagumi_nikuya | 2010-08-20 19:49 | サンキューマイトワイライト | Comments(0)

滅んだ世界の王様

ペペロンチーノは滅せられた。聖パトリシアの栄光は永遠に語り告げられるであろう。白い幻は黒い真実によって砕けた。しかし彼女は生け贄の羊に過ぎなかったのでは?

新光皇歴2011年ガリア王国サンパトリシアにて_

銀髪の少女は駅で一人待っていた。
『ナンセンス・ネーミング…』
彼女は一人つぶやく。ふと見ると列車が着いたように見える。汚物を避けるように人々が散っていく。きっとあの人に違いない。その人物はこちらに目をつけると声を掛けてきた。
『セリア、待たせたな』
『なんのようですかムスタングさん、変な気遣いもして』
『へへへ』
『ところでその格好は?』
ムスタングはコートを羽織っていたが、その下に来ているのがどう見ても競泳水着にしか見えなかった。
『わたしは常々思っているんだけど、水着を常に着ていれば雨に濡れても大丈夫じゃない?』
とムスタングは堂々と言った。
『じゃあなんでコートを着ているんですか?』
『寒いからなんだぞ』
ムスタングは一瞬素に戻る。
『コートは濡れてもかまわないの?』
『あ…』

『ところで一体何のようです?もうとっくに宇宙に消えたものだと思いましたが』
『俺はちょっと探したいモノがあるんだぞ』
『探したいもの?』
『生きる目的なんだぞ』
『え?それでなぜ私を呼んだんです?』
『パトリシア・ムスタング・フォックスアイに会いたい、そのために過去に飛ばして欲しいんだぞ。セリア』
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by yosidagumi_nikuya | 2010-08-12 23:15 | サンキューマイトワイライト | Comments(2)