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こんなブログで大丈夫か?


by yosidagumi_nikuya
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ケース4 悪魔火

2029年12月27日

もう十二時回っていたんだ。これはパパに怒られるだけじゃ済まないな。まあウィノナがラスト・ダイナソーを動かして、言ったから仕方ない。
『これって、マルチネなの?』
ウィノナが聞いてくる。要は二人乗りなのって聞いているようだ。ラスト・ダイナソーは僕だと認証しないと起動しない。でも僕の手足の長さだと、操縦桿やペダルに届かない。僕とウィノナで協力して乗り動かすしか、今は方法がない。
ウィノナの膝の上に乗る、妙な気分だ。認証するためにはコクピットにいないと意味ないし、仕方ないよね。気を紛らわすために、ラジオをつける。
(緊急速報です)
ラジオは意外な事実を伝える。町を三機のアームヘッドが襲っている。しかもここの近くだ。ウィノナがさっとカーナビのテレビをつける。それを見てウィノナは傍目から見ても分かるように驚いた。
『あ、あいつら勝手に何やってるんだ、エクジクト様の許可はあるのか?』
『え?』
『おい、ニンゲン、このポンコツを発進できるか?』
ウィノナがはじめて怒鳴る。
『は、はい』
ラスト・ダイナソーが僕を認証して起動する。
『いくぞ、ニンゲン』
アクセルをめいいっぱい踏んだ、ラスト・ダイナソーは倉庫の壁をぶち抜いて滑走する、両翼を展開し、空に飛び立った。

町にはすでに炎が上がっていた。ゴレンの正規軍が対応に当たっている。エイン6型って奴か、だが三機のカスタムアームヘッドには歯が立たない。
『何をやっているんだ、ヒットメイカーの命令か?エクジクト様はこんなことを命令してはいない』
向こうのアームヘッドに対してウィノナが怒鳴る。
『俺自身の命令さ、俺はただただ壊したくって堪んねえのさ。それを邪魔させはしない、エクジクトにも、ソードにも、てめえにもな』
向こうのアームヘッドから返事が来る。
『我々に反逆するというのだな、ならばおまえ達は駆逐する』
ウィノナはラスト・ダイナソーのハンドルを切り、返事をしてきた黒い蜥蜴のようなアームヘッドに向ける。
体当たりをするつもりだ。ラスト・ダイナソーが蜥蜴に体当たりをしようとした時、星の明かりすら消え、光が全くなくなった。
『『ネザー・ゴー』、このセンチュリー・クリーパーにポンコツで挑んだことがおまえの愚かさだ、アームヘッド女』
暗闇で立ち往生したラスト・ダイナソーに敵の声が谺する。
暗闇に目がなれた時真上に敵のアームヘッドが乗っていた。
『さよならだ、お嬢ちゃん』

その瞬間だった、走馬燈と言うのだろうか、いろいろなことが思い出せた。『このボタンは本当にやばい時にしか押しちゃ駄目だ』
それは今じゃないのか?目の前に『危険』と書かれていたボタンを発見した時にはすでに押していた。

虹色の光線が暗闇を直進しているのを見た時には敵のアームヘッドは離れていた。
『てめえ?何しやがった』
蜥蜴の下半身は綺麗に消えていた。
『テ、テトラバスター?』
僕はつぶやいていた。そうこの武器はそういう名前だった。
『覚えていやがれ、次は潰してやる』
三機のアームヘッドが去っていく。
『いいのか?』
『粒子残量が』
敵の声がかすれて消えていった。
by yosidagumi_nikuya | 2010-06-06 12:41 | プレジャー・ソング